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イデアなひととき
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茶道楽の効用!

 

  世に“道楽”と言えるものも数多いが、中でも“茶道楽”は、比較的簡単に始められるにしてはなかなか奥が深く、優雅だ。身を滅ぼす者はないだろうが、しかし上には上があり、道具まで懲り出せば際限の無い道ではある。一言で“お茶”と言っても、日本茶、中国茶、紅茶と、世界各地で“お酒”に次ぐ愛好者を持つ“嗜好品”であり、体にも、精神にも効く妙薬なのだ!

  日本臨済宗の開祖である“栄西禅師”は、1187年2度目の訪中の時、茶の種を日本に持ち帰ったと伝えられる。茶の種は、とても熱に弱く、夏を越えると発芽率は、一気に20~30%にまで落ちてしまう。しかも蒔かれる土地を選び、どこでも良いという訳ではない。“栄西禅師”は、そんな詳細な知識まで持ち合わせており、余程、中国で暮らすうちに、“お茶”の持つ効用に深く興味を抱いたに違いない。その“栄西禅師”が著した「茶は養生の仙薬なり・・」で始まる「喫茶養生記」は、日本人に初めて“お茶”の効用を具体的に伝える手引書となった。

  不発酵茶である“日本茶”は、一旦完全に“茶の葉”を蒸してしまい、それ以降発酵が起こらないようにするのが特徴である。そして、日本では“茶の葉”自体を食べたり飲んだりするという発想が、他国と大きく異なる。“茶の葉”を石臼で引けば、すなわち「茶道」で“お濃茶”、“お薄”を立てるのに用いられる“抹茶”になる訳だし、また煎茶を煎じた後の“新茶の出し殻”は、酢醤油で和えて、そのまま食べても実に美味である。

  中国茶は、黒茶・青茶・白茶など色や製法によって分けられるが、“半発酵茶の雄”と言えば、やはり鉄観音などが有名な“ウーロン茶”だろう。その馥郁たる香りは、他に類を見ない。日本茶と違い、3煎、4煎と煎じても、香りは充分に感じられる。“茶の葉の発酵”が生み出す“アロマ”は奇跡的である。

  最後に英国のイメージと完全に重なる“紅茶”だが、“茶の葉”自体の話より、それを飲むシチュエーションの方が興味深い。例えて言えば、アフタヌーン・ティーに象徴される“時間を度外視した優雅さ”だろう。また、英国貴族の間で“ティー・パーティー”が開かれた時、“山ほどの砂糖”と“向こうが透けて見えるような胡瓜が挟まったサンドウィッチ”は欠かせなかったそうだ。その当時、ヨーロッパでは最高の贅沢品だった“砂糖”を充分買えることと、胡瓜を紙のように薄く切れる“腕の良いコック!”を雇っているということを自慢できるのが、貴族達の“最高の贅沢”だったらしい!

文 国影 譲

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