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イデアなひととき
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夢の向こうに!(上)

  手前味噌のようで恐縮だが、一見気楽そうに見える“物書き”という仕事も、これでなかなか一筋縄ではいかない。自著の累計発行部数が1億部を超えるという“軽井沢の巨匠”「内田康夫」氏のように、書き始める前には全くプロットなど考えていなくても、原稿用紙に向かった途端にアイデアが湯水のように湧き出すという天才も中には
居られるのだろう。しかし、恥ずかしながら“浅学非才”の身にあって、原稿締め切りが迫るとなれば、それこそ24時間絶え間なく“寝ては「夢」、覚めては「現(うつつ)」幻の・・!”如く、頭をフル回転させることが必須となる。そんな“物書き稼業”危急存亡の折に我が身を助けてくれるのは、大抵目覚めている時間よりも布団の中で「夢」を見ている時間の方のようだ。そして、どうやらそれは科学的にも証明できるらしいのだが・・。

  実は日本語では、一口に「夢」と言ってもその意味するところは数多くある。ちょっと国語辞典を引いてみただけでも“6項目”もあった! 曰く、
1.睡眠時に、あたかも現実の経験であるように感じる「幻覚体験」
2.将来実現させたいと心の中に思い描いている「願い」
3.目の前にある現実とはかけ離れた「空想」
4.心の「迷い」
5.現実を離れた「甘美な状態」
6.「儚いこと」、「不確かなこと」twoonelife46_2

  もともと「夢(ゆめ)」は、古代語「いめ」の音が変化したものと言われており、「万葉集」の中では、「寝目」の字が当てられている。これはやはり、当初は「夢」の意味が“寝てい
る間に見る「幻覚体験」”を指していたことを裏付けていると言えるだろう。そしてそこから派生して“人間の心の中にあること”とか、自分ではコントロール出来ない“心の状態”を表す言葉にも使われるようになったのだと思われる。古代の人々は、自分の意思が反映できない「夢」という現象に対して“不可解さ”や“怖れ”を感じることもあっただろうし、また現実には会えないような人との「夢」での会合に“狂喜”したことも有ったに違いない。そんな「夢」に対するさまざまな想いが、“夢占い”やフロイトにより体系化された“夢による精神分析”などを生み出す土壌になったのだろう。しかし、現代の“脳科学”の驚異的な進歩により、「夢」や「睡眠」の持つ“役割”や“意味”がかなり正確に解ってきた。

  どうやら、“脳”は寝ている間に、起きている時に吸収した膨大な“情報”を必要なものと不必要なものに取捨選択した後、“脳”の中に“記憶”として整理保存するのだという。睡眠中の“脳”の活動は決して休息状態ではなく、場所によっては、起きている昼間よりも活動が活発になっていることから、「夢」はこの“情報の取捨選択”作業中に見るものだということが判明したのである。

■夢の向こうに!(中)は、こちら>>
文 国影 譲

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